前回は、口腔内環境と誤嚥性肺炎の関係についてご紹介しました。
今回は、歯周病と関節リウマチの関係について解説します。
関節リウマチとは?
関節リウマチと聞いて高齢者の病気だと感じた方は多いのではないでしょうか。
実は、関節リウマチは自己免疫疾患の一種であり、若年者でも発症しうる病気なのです。
まず、関節の構造を説明します。
関節は、骨と骨の間に靱帯・滑膜・軟骨関節が存在し、骨同士が接続されることで構成されています。
関節リウマチとは、この関節内に存在する滑膜に炎症が生じ、最終的に骨や軟骨、靱帯が破壊される疾患です。
症状としては、主に関節痛や関節の腫れですが、貧血や微熱、全身倦怠感などを生じる場合もあります。
関節リウマチの原因は、遺伝や細菌、ウイルスと考えられていますが、未だによくわかっていないのが実情です。
治療法としては、薬物療法・手術療法・理学療法があります。
薬物療法は関節の炎症を抑えるロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症剤や副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)、疾患修飾性抗リウマチ薬などを使用します。
手術療法としては、炎症の原因となっている滑膜切除術、昨日再建手術、人工関節置換術などがあります。
理学療法としては、運動療法や温熱療法などが挙げられます。
よく温泉などで効能としてリウマチに効くと書かれているものは、温熱療法に該当します。
歯周病と関節リウマチの関係
歯周病原菌と関節リウマチの関係として、生体由来のペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)により生成されるシトルリン化タンパク質に対する自己抗体が賛成されることで、自己免疫応答が誘発されると考えられていました。
また、歯周病原菌の一種であるPorphyromonas gingivalis(P.gingivalis)はPADを生成する唯一の口腔内細菌であることがわかっています。
さらに、最近の研究では口腔内の歯周病原菌であるP.gingivalisが腸内細菌叢へ影響を与え、血中の炎症性物質のレベルを上昇させることで関節炎が悪化し、間接的に関節リウマチの発症を引き起こしている可能性が示唆されています。
関節リウマチの原因は未だ明確とはいいがたいですが、様々な研究により原因の一端が明らかになってきています。
関節リウマチは自己免疫疾患であるため完治が難しい病気です。
したがって、そのリスクとなる要因はできる限り早期に排除しておくことが望ましいと言えるでしょう。
そのためにも、歯のぐらつきや口臭が気になる方や歯周病に罹患している方は、歯科医院で歯周病を早期治療することが関節リウマチを発症するリスクを下げることに繋がるのではないかと思います。