最近は高齢者ドライバーの逆走事故や人身事故が大きく取り沙汰され、社会問題となっています。
高齢化社会を迎えている今、そうした認知症に悩まれている患者やご家族の方は多いのではないでしょうか。
今回は、一見無関係に思える歯周病と認知症の関係について解説します。
認知症とは?
皆さんは認知症についてどの程度知っていますか?
認知症は俗に老人になるとボケるなとど言われ、病気ではなく老化による激しい物忘れという認識をしている人はまだまだ多いのではないでしょうか。
実は、激しい物忘れといった症状は認知症の1種の症状であり、認知症とは脳の病気なのです。
まず、認知症には大きく分けて4種類に分類されています。
アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭葉型認知症です。
アルツハイマー型認知症はいわゆるアルツハイマーと呼ばれる認知症で、全認知症患者の中で67.6%を占める最も多いタイプの認知症です。
アルツハイマー型認知症はアミロイドベータと呼ばれる異常タンパク質が脳内に蓄積し、老人斑を形成することが原因であると考えられています。
アルツハイマー型の特徴として、昔のことはよく覚えているが最近のことは忘れるといったものがあり、進行すると時間や場所感覚が失われる見当識障害を発症します。
レビー小体型認知症は4.3%を占め、レビー小体というタンパク質が脳神経細胞を破壊することが原因で発症します。
脳血管性認知症は19.5%を占め、脳梗塞などの脳血管障害により十分な血流が脳に供給されず、脳細胞が壊死することが原因です。
前頭側頭葉型認知症は1%を占め、脳の前頭葉や側頭葉で脳細胞が減少することが原因です。
歯周病と認知症の関係
それでは、歯周病と認知症にはどのような関係があるのでしょうか?
脳以外の部位で生じた炎症が原因で、ミクログリアが活性化し脳の炎症を誘発することでアルツハイマーのリスクを高めていることが考えられています。
ミクログリアとは、脳などの中枢神経における免疫細胞であり、アミロイドベータタンパクの貪食や炎症因子の産生放出に関わっています。
アルツハイマー病患者では歯周病原菌に対する抗体価が増加しているだけでなく、脳内から歯周病原菌の細胞壁に含まれる内毒素も検出されており、ミクログリアによる脳炎症が生じています。
このように歯周病原菌が原因となり、脳に炎症が起きることが近年の研究からもわかってきています。
したがって、歯周病を予防・治療することは、アルツハイマーを予防することにも繋がりますので、認知症のリスクを減らすためにも、ぜひ歯科医院で歯周病治療をすることをおすすめします。