前回はう蝕(虫歯)と感染性心内膜炎の関係についてご紹介しました。
今回は、歯周病と大腸がんの関係について解説していきます。
大腸がんとは?
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皆さんは大腸の役割や大腸がんについてどの程度知っているでしょうか。
まず、大腸の役割から説明します。
大腸は口、食道、胃、十二指腸、小腸の順に繋がっていき、口腔と並んで外界に接する最後の臓器です。
大腸は盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸から構成される長さ2m程度の臓器です。
大腸は小腸で吸収された食塊から更に水分やエネルギーを吸収する役割を担っています。
大腸の内壁は絨毛と呼ばれるひだ状の構造になっていて、効率的に水分やエネルギーを吸収できる構造になっています。
このように水分や栄養が大腸で吸収されることで、便に栄養や水分が残ることなく適度な固形物となり、皆さんが普段排出するウンコになります。
大腸がんとは、大腸の内側に存在する粘膜(絨毛)に発生するがんのことを指します。
大腸がんの症状として、早期にはほとんど自覚症状がなく、進行すると血便、腹痛、体重減少、便の異常が見られることが特徴です。
大腸がんの発生部位にもよりますが、大腸は肛門に近いため、鮮やかな赤色の血便が見られることがあります。
歯周病と大腸がんの関係
これまで歯周病と全身疾患の記事を読んでいる方の中には、「口腔は食道や胃を通して一本の道で大腸と繋がっているのだから歯周病と大腸には当然何か関連があるのでは?」と気づいた方もいるのではないでしょうか。
口腔内に細菌叢が存在しているように、大腸内にも腸内細菌叢という複数の細菌が複雑に共存している環境が存在します。
最近の研究から、歯周病原菌の一種であるFusobacterium nucleatum(F.nucleatum)と呼ばれる細菌が大腸がんとかかわっていることが明らかになっています。
大腸がん患者の4割以上の患者の大腸内の癌組織から、口腔内の唾液に含まれるF.nucleatumが発見されているのです。
将来的には、口腔内や腸内細菌を調べることで大腸がんを簡単に発見できたり、口腔内や大腸内のF.nucleatumを抑制することによる大腸がんの治療・予防が可能となるでしょう。
このようにF.nucleatumは歯周病の原因となるだけでなく、大腸がんのリスクともなりえますので、歯周病の治療による早期のリスク排除が求められます。
大腸がんは臓器別のがんの中で3番目に多く、我々日本人にとって非常に身近ながんです。
そうした大腸がんのリスクを減らすためにも、歯科医院で定期的な検診を受け、歯周病の予防に努めることが重要となります。