今まで歯周病や歯肉炎について解説してきましたが、治療を行っていてもなかなか治らなくて不安に感じている患者さんも多いのではないでしょうか。
歯周病はその治療に患者さん自身の協力が必要な面も多く、治りにくい病気です。
しかし、治療にも積極的に取り組んでいるにもかかわらず、改善が見られないということはほかの原因があるかもしれません。
今回は、白血病と口腔の関係について詳しく解説していきます。
白血病とは?
白血病という名前を聞いたことはあるけれども、詳しくは知らないという方が大半であると思います。
また、多少詳しい方でも白血病は血液のがんであるということを知っている程度ではないでしょうか。
白血病とは、血液を作る造血幹細胞が癌化し、正常な赤血球・血小板・顆粒球・リンパ球に分化できず、結果としてそれらの正常な血液細胞が減少してしまう病気です。
正常な血液細胞が減少すると貧血、免疫力の低下、出血、脾臓肥大が起こります。
白血病は急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病に分類されます。
白血病は正常な細胞の遺伝子やがん抑制遺伝子が損傷することで発症すると考えられています。
慢性骨髄性白血病は、その患者の95%以上でフィラデルフィア染色体と呼ばれる異常染色体が原因となって引き起こされますが、遺伝性はありません。
白血病と口腔の関係
それでは、血液のがんである白血病が口腔とどのように関わっているのでしょうか?
前述したように、白血病になると正常な血液細胞が減少するため、免疫力の低下・出血が症状として出やすくなります。
急性白血病の初期症状として、歯肉出血・口腔粘膜出血・歯肉腫脹・口腔粘膜潰瘍・口腔感染症が見られることが多くあり、歯科医師による早期発見が重要となります。
また、全身症状として、全身倦怠感・発熱・貧血・食欲不振・リンパ節腫脹が起こります。
歯科医院で歯周病の治療を適切に行っているにもかかわらず、全身症状と歯周炎・歯肉炎が改善されない場合、白血病の可能性も考えられます。
歯磨きしていると歯茎から出血する、食事すると出血する、歯周病治療を行っているが改善しない、全身症状があるといった方は、単なる歯周炎・歯肉炎ではないかもしれません。
白血病などの全身疾患の可能性もありますので、ぜひお近くの大学病院歯科口腔外科や血液内科などを早期に受診することをおすすめします。