皆さんの中で口の中の水ぶくれを経験したことのない方はほとんどいないと思います。
しかし、その水ぶくれは本当にただの火傷によるものなのでしょうか?
今回は、帯状疱疹と口腔の関係について詳しく解説していきます。
帯状疱疹
皆さんは帯状疱疹という病気を聞いたことがありますか?
おそらくピンとくる方とそうでない方の差が激しい病気ではないかと思います。
また、知っているという方でも体調が悪くなると出てくる湿疹程度に捉えている方がほとんどではないでしょうか。
ヘルペスには単純ヘルペスウイルスと水痘帯状疱疹ウイルスが存在します。
実は帯状疱疹とは、水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症なのです。
帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルスに感染することにより、脇から胸の中心へ向かって帯状の湿疹が出る病気です。
一方、口唇ヘルペスと性器ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスによる感染症です。
それでは、帯状疱疹が一度治ったように見えても、再び発疹として出てくるのは一体どういうことなのでしょうか?
実は、単純ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルスは一度感染すると、体内から排除することができません。
帯状疱疹は体力が回復すると、身体の免疫力により一見ウイルスが体内から除去されたように見えますが、ウイルスは神経節に潜んでおり、免疫力が低下すると再び症状を呈するのです。
帯状疱疹と口腔内の関係
口唇ヘルペスは性器だけでなく、顎顔面にも症状が出る病気です。
上の項目でも説明した通り、単純ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルスは神経節に残存しているため、体調が悪いと活性化します。
単純ヘルペスウイルスは、三叉神経節に残存しているため三叉神経の支配領域の顔面・口唇に発疹が好発します。
初感染ではヘルペス性歯肉口内炎が発症し、体調が悪い時に起こる再帰感染では口唇ヘルペスが発症します。
ヘルペス性歯肉口内炎は感染後5日程度で発症し、発熱・倦怠感・口腔粘膜の水疱が現れます。
この水疱が破れることにより口腔粘膜全体に発赤が発生し、激しい接触痛を伴います。
そのため、食事や歯磨きが疎かになり、口腔内環境の悪化・口臭が発生やすくなります。
また、口唇ヘルペスは口唇やその周辺に水疱が生じ、かゆみや痛みが生じます。
治療法としてアシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬の服用が挙げられます。
しかし、抗ウイルス薬はウイルスの増殖を阻害する作用だけなので、神経節に存在する単純ヘルペスや水痘帯状疱疹ウイルスまで取り除くことはできません。
再発防止には抗ウイルス薬の事前服用や定期的な服用など対策もありますが、抗ウイルス薬の服用を正しく行っていても再発を繰り返す場合には、ウイルスが抗ウイルス薬に対する耐性を獲得している場合もあります。
口唇ヘルペスは口腔内に症状が出るため、歯科医院などで早期発見される場合があります。
したがって、少しでも口腔内に異変を感じる場合、歯科医院の早期受診をおすすめします。